不倫慰謝料の示談書サンプル・文例・雛形
「示談書(和解書)」は契約書であり、法的文書です。そのため、一般の方々は普段の生活の中で接する機会も少なく、どのようなものかイメージがわきにくいのではないでしょうか。そこで、本ページでは、不倫(不貞行為・浮気)に関する示談書のサンプル・文例や、当事務所が代行して作成する標準的な示談書のイメージ、さらに、不倫・浮気の示談書に記載可能な事項・規定の例を豊富に掲載しています。
掲載内容は次のとおりです。なお、「示談書」とありますが、契約書はその内容によって性質が決まるものなので、不倫事案の和解を内容とする「和解書」「合意書」「誓約書」をお探しの皆様にも、ご参考にしていただきたいと思います。
当事務所は、より安心できる効果的な不倫慰謝料の示談書とはどのようなものか、常日頃から探求しつつ、不倫の示談・和解がより安心できるものとなることを願っております。
なお、下記サンプル等は、不倫の示談書がどのようなものなのかをご理解いただくことを目的として掲載しています。もし、ご利用される場合には、こちらをご覧いただきますようお願いいたします。
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- サンプルに関する注意点
不倫慰謝料の示談書サンプル
サンプル1(簡略・一般的な例)
示談書
〇〇〇〇(以下「甲」という。)と〇〇〇〇(以下「乙」という。)は、乙が甲の妻〇〇〇〇(以下「丙」という。)と行った不貞事件に関し、以下のように合意し、和解した。
- 乙は甲に対し、乙が甲の妻丙と交際し不貞行為を行ったことを認め、謝罪する。
- 乙は甲に対し、慰謝料として金100万円を、平成22年4月10日限り、一括して、甲が指定する口座(〇〇銀行〇〇支店・普通・1111111・〇〇〇〇)への振込みにより支払う。なお、振込にかかる手数料は、乙の負担とする。
- 乙は、丙と、いかなる理由があろうと、今後一切、接触してはならない。
- 甲及び乙は、知り得た当事者に関する秘密を、第三者に口外してはならない。
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甲及び乙は次に規定する行為を行ってはならない。
(1)相手方の住居・勤務先を訪問すること
(2)相手方、及び、相手方の親族・友人と接触すること
(3)相手方に義務なき行為を行わせること
(4)相手方の名誉を害する事実を告知すること
(5)その他一切の迷惑行為 - 甲乙の間には、この契約書に記載したもの以外、一切、債権債務は存在しない。
甲、乙間で示談が成立したことの証しとして、本示談書を2通作成し、甲、乙それぞれが署名押印の上、各自1通ずつを保有する 。
令和年月日
(甲)住所
氏名印
(乙)住所
氏名印
上記のような例は、ネット上でも散見されると思われます。記載されている内容は、不倫の示談書において最小限必要と考えられる範囲に抑えられ、また、表現も簡略化されています。しかし、裏返せば、最小限必要な記載はなされているといえ、不倫の示談書としての体裁は調えられていますので、不倫の示談書の一例として尊重されるべきものといえるでしょう。もし、このページをご覧いただいている方が、慰謝料一括払いの不倫の示談書が必要で、かつ、シンプルであることが何より大切であるとお考えになるなら、ご自身のケースに応じて、上記のサンプルを適宜変更していただいたうえ、自己の責任においてご利用いただくことも可能といえます。
しかし、当事務所としては、上記のサンプルにおいて、不倫の示談書における必要十分な記載がなされているとは考えません。もちろん、ご依頼いただいた場合もご依頼人のご要望に従って作成しますので、ご依頼人が上記のサンプルに記載された内容であっても不安を感じず、満足していただけるのであれば、「そのケースにおいては必要十分」であると言えると思います。ただ、できることなら、形式面においても、和解契約の要件が充足していることやその効果について、書面上、明示的に示されている方が好ましいといえ、その意味では、上記のサンプルは不十分といえます。また、内容面においても、一般的に、当事者はその当事者固有のご事情を抱えているといえますので、その個別の事情を反映した内容となっていることが好ましいといえるでしょう。
もし、このページをご覧いただいている方が、示談書の作成にあまり費用をかけることを好まないが、上記のサンプルでは不安をお感じになるのであれば、上記のサンプルを基本としつつ、そこにご自身のご要望を全て盛り込んだ文書を作成してください。そして、その文書を当事務所へお送りいただければ、低料金で清書・校正いたします。当事務所の清書・校正サービスの詳細についてはこちらをご覧ください。
そこで、次に、当事者の個別の事情を取り入れ、上記のサンプルと比較して、やや詳細な内容が規定されている文例を掲載しますので、こちらもご参照ください。
なお、下記のサンプルには不適切と思われる箇所が相当数存在します。お分かりになるでしょうか。答えはその後の解説に掲載してありますので、ご参照ください。
サンプル2(やや詳細・個別事情を取り入れた例)
以下のサンプルは次のような前提で作成されています。
- 甲:被害者、乙:加害者、丙:甲の配偶者(夫)
- 甲と丙は美容院を経営している。
- 乙は甲丙の美容院の常連客だった。
- 交際期間は6か月、また、狭い意味での不貞行為は1度だけであった。
- 甲は、交際期間、不貞行為の回数を信じていなかった。
また、以下のサンプルは、ネット上でよく見かけるサンプルを参照し、アレンジして作成してあります。参照元のサンプルは、当事務所の示談書清書・校正サービスでご依頼人から提供されるご依頼人自作の文書でもよく使われているものです。
示談書
〇〇〇〇(以下、「甲」という。)と、〇〇〇〇(以下、「乙」という。)は、本日、下記のとおり合意した。
第1条(謝罪)
乙は甲に対し、乙が、〇〇〇〇(以下、「丙」という。)と不貞関係にあったことに関し、心より謝罪し、今後甲との関係を一切断つことを誓約する。
第2条(慰謝料)
乙は甲に対して、婚姻家族生活の平穏を侵害したことによる責任及び甲に対して精神的苦痛を与えた責任として、金50万円の慰謝料支払義務があることを認める。
第3条(慰謝料の支払方法)
前条に定める慰謝料は下記のとおり支払う。
- 金50万円一括 平成25年5月末日限り
- 次の口座への送金により行う。
金融機関:〇〇銀行〇〇支店 口座番号:1111111
口座種別:普通 口座名義人:〇〇〇〇〇〇
第4条(遅延損害金)
乙の甲に対する前条1項の支払いが遅れた場合には、当然に期限の利益を失い、乙は甲に対して、残金にその時点から年5%の割合による遅延損害金を付加して、これを直ちに支払うものとする。
第5条(期限の利益の喪失)
本合意成立後、乙について次のうち一つでも生じた場合には、甲からの通知催告がなくとも当然に期限の利益を失い、乙は、直ちに債務の全額を支払うものとする。
- 支払の停止又は破産、民事再生開始のいずれかの申立てがあったとき。
- 住所変更または勤務先の変更の通知を怠るなど、甲に乙の住在または勤務先が不明になったとき。
- その他本合意書の各条項に違反したとき。
第6条(秘密保持)
- 甲及び乙は、知りえた当事者に関する秘密を口外してはならない。
- 乙は、甲及び丙の店舗に関する情報を、第三者に漏洩してはならない。
第7条(禁止事項)
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乙は、甲及び丙並びに甲丙の親族、知人・友人等関係者に対し、次の各号に該当する行為を一切しないことを誓約する。
- 住居、および甲丙が経営する美容院(〇〇〇〇)を訪問すること。 つきまとい、待ち伏せ、進路での立ちふさがり、住居、勤務先等の付近において見張りをすること。
- 住居、勤務先等への電話、手紙、ファクシミリを用いての送信、メ-ルの送信、その他の通信手段を用いて送信する等一切の通信行為。
- 面会その他の義務のないことを行うように強要すること。
- 名誉を害する事実を告知し、又は不特定多数人が知り得る状態に置くこと。
- その他不快感を与える一切の行為。
- 第三者を介しての前各号による一切の行為。
- 甲は、甲丙間の婚姻家族生活の平穏を害するおそれがあると認められる場合に、前項に掲げる行為以外の行為を禁止する事ができる。
第8条(違約金)
- 乙が、本合意書の一つにでも違反した場合には、違反行為一回につき、違約金として金20万円を支払う。
- 乙が甲に対して申告した事実に虚偽がある事が発覚した場合、乙は甲に対し、金50万円を支払う。
第9条(求償権の放棄)
乙は、慰謝料及び違約金を支払う事によって発生する求償権を放棄する。
第10条(解除)
本契約締結前に乙が申告した事実に虚偽があった場合、甲は本契約を解除できる。
第11条(債権債務の不存在)
甲及び乙は、本件については、この合意によってすべて解決したことを確認し、甲乙間には第9条により発生しうる損害賠償債権・債務以外何らの債権・債務関係のないことを当事者相互に確認する。
上記のとおり合意が成立した証として、本書2通を作成し、甲乙は署名・捺印の上、各1通宛保有する。
令和年月日
(甲)住所
氏名印
(乙)住所
氏名印
上記サンプルでは、ある程度当事者の独自の事情が反映されていることがお分かりいただけると思います。この点で「サンプルその1」と異なります。当事務所としては、示談書を作成する以上、できる限り個別の事情を反映されるべきものと考えております。
しかし、一方で、上記のサンプルには、誤りではないが「不適切」と考えられる記述が相当数存在します。個別の事情を反映させようとすると、どうしても、「サンプルその1」のような典型的な形式から離れてしまい、それに応じて、「不適切」場合によっては「誤り」といえる記述が混入するリスクが高まります。上記サンプル中の「不適切」と考えられる箇所として、例えば、次のような点があげられます。
- 示談(和解)の対象となった事案の特定がなされていません。
- 金額の表記が途中で切れることは好ましくありません。
- 「限り」「宛」という表現はよく使われるものの、全体を通じて、当事者に受け入れやすい表現を使用した方がよいです。
- 遅延損害金について、期限の利益を喪失した場合の記載が欠けています。
- 「知りえた」が、「(すでに)知っている」なのか「知ることができた(可能性)」なのか、不明確といえます。
- 「秘密保持」や「禁止事項」について、除外事項を設けておかないと、規定が形骸化したり、規定相互の矛盾が生じる恐れがあります。
- 第7条1カや第7条で「不快感」「おそれ」という主観に依拠した基準が設定してあり、好ましくありません。
- 第8条2や第9条のような規定をすると、示談(和解)をした意味が消滅・軽減してしまいます。示談(和解)は事実関係の争いをやめることにも重大な意味があります。
- 求償権の放棄の意思表示の相手方は丙なので、それと分かる記載をした方がよいです。
- 第11条の「第9条により発生しうる損害賠償債権・債務以外」という記載は不要と思われます。違約金に関する事項は本件とは別件です。
サンプルに関する注意点
先に掲載したサンプルは、あくまでも示談書のイメージをお伝えすることを目的として掲載するものです。ご参考にされることを超えて、サンプルをそのままの形で、ご利用される際には、次の点にご注意ください。
- 示談書は、争いが蒸し返されることを防ぐために作成されるものですが、最低限の記載をしているだけでは、この目的を達しえません。通常記載項目は、「第1条から第10条」程度にはなるものです。
- 示談書は、過去の争い事を清算するという目的に加え、今後、同種の違法行為が繰り返されることを防ぐために作成されるものです。後者の目的を達するためには、ある程度長期間にわたって当事者相互の関係性を規律する必要があります。そのためには、当事者の関係性等に照らし、個々の事案に応じた個別の検討をしたうえ作成することが望ましいといえます。
- 相手方に義務を課すことについても、法的に許容されるものとそうではないものがあり、専門的判断が必要となります。
- 法律文書によくみられる表現や上手くまとめあげた表現は、適度に使用することが好ましく、使用しすぎない方がよいと思われます。なぜなら、多くの方は、不倫の示談・和解や示談書・和解書というものに、慣れてはいないと思われ、そのような人同士が示談・和解をすることを前提に考えなければならないからです。抽象化した表現は、解釈に幅を持たせてしまうので、後々の争いの元となりえます。逆に、法律の専門家や事案になれているもの同士では、より簡潔でまとめ上げられた表現の方が誤解が少なくなると思われます。
- 以上のことから、自作をお考えになるのであれば、「サンプル1」のような1枚に収まるシンプルなものを作成されることをお勧めします。
「示談書作成に不安があるが、できるだけ費用をかけたくない」とお考えの方にもお役に立てるように、当事務所では、「清書・校正コース」(10,800円)をご用意しておりますので、よろしければ、こちらをご利用ください。
当事務所が代行して作成した示談書は、次のようなイメージになります。
当事務所作成示談書イメージ
秘密保持との関係で、明示することはできませんが、ご了承ください。当事務所が作成する際には、「表現」「記載項目」の点で、ご依頼人の事情に応じた様々な処置を施します。「記載項目」は条文数で示すと、概ね8条から12条、ご依頼人のご事情によっては15条になることもあります。


記載可能な項目としては、次項の「当事務所の示談書記載例」に掲載していますので、ご参照ください。また、記載された例以外にも、当事者のご事情・ご要望に従い、法律上可能な限り、記載することが可能ですので、是非、ご相談ください。
なお、当事務所がご依頼人のご要望に従って作成する際には、枚数にしてA4で2枚から4枚の分量となりますが、シンプルな定型的な文書(枚数にしてA4で1枚)をご希望される場合にはご相談ください。
当事務所の示談書記載例
当事務所が示談書を作成するに際して、ご依頼人のご意向に従い、以下のような記載をいたします。
これらの記載の大部分は、不倫の示談書が有効となるために不可欠なものという訳ではありません。しかし、不倫問題が解決し、示談書を作成する理由は、「過去の清算」をするのと同時に「将来の安心」を求めることにあります。そうだとすれば、より深い安心を得るために、せっかく示談書を作成するのであれば、規定の厳密さと緩やかさの調和を図りつつ、それぞれのケースに応じた、適切な内容の示談書を作成することが望ましいといえます。
このような観点から、ご覧いただいた方にどのような記載が可能なのかを明示しております。なお、規定の趣旨のご理解の一助としていただくために、補足説明を加えてある規定もありますので、ご参照ください。
全体に関連する事項 |
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債務に関する事項 |
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支払いに関する事項 |
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接触禁止に関する事項 |
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名誉・プライバシーに関する事項 |
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その他の事項 |
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示談書には、実に様々な事項を記載できることがお分かりいただけたと思います。こうした規定を活用して、一人でも多くの方が、より安全な不倫の示談・和解がなされるように、当事務所は願っております。
そこで、次に、簡単ではありますが、不倫の示談書を作成するうえでの概括的な知識を掲載します。
示談書の作成について
示談書を作成する目的
1.争いに終止符を打つ 2.過去の争いごとが蒸し返されることを防ぐ 3.将来同種の違法行為がなされることを防ぐ 4.約束事について当事者双方が共通した認識を持つ 5.金銭債務の履行確保 6.金銭債権の証拠確保 7.金銭の支払いに対する見返り 8.プライバシー・名誉を守る
示談書を作成する時期
一般的には、示談内容が確定した後に作成しますが、相手方と会談する前に作成しておき、会談した際に、相手方に異論がなければ署名・捺印を求め、異論があれば、それに応じて修正するという利用の仕方がされることも多いです。
示談書作成費用等の負担
当然に加害者が示談書や公正証書の作成費用を負担するというものではありませんが、実際上、折半または加害者側に負担を求めることが多いようです。なお、折半の場合、及び被害者側のご依頼で加害者側に費用負担を求める場合は、その旨が示談書に記載されます。
一方の当事者に有利な内容となることがあるのか
示談書は公平を期して作成されます。ただし、ご依頼人のご意向に従って作成されるので、結果的にご依頼人にとって有利な内容となる傾向は否定できません。
「何を書くのか」「どのように書くのか」
過不足なく記載しなければなりません。少なすぎることはもちろん、多すぎる記載もいけません。「書いてない」ということにも、重要な意味があるからです。当事者の立場、相手方の信頼度、争いの性質など、諸般の事情を考えに入れて、過不足なく、項目だてをしなければなりません。
また、後々、当事者間の理解に齟齬が生じ、争いが蒸し返されることがないように、無用な曖昧さ・不明確さ、及び論理矛盾はすべて排除しなければなりません。曖昧さや論理矛盾を避けるために、法律文書には、慣習上、一定の作法が決められていますが、それに応じた記述をした方がよいです。ただし、一般の方々が理解しにくい表現作法は、分かりやすい表現に改めるべきです。
示談書作成ネットサービス
全国どちらにお住まいの方へも、メール(PC・携帯)、郵便等によるやりとりで、安心と格式のある示談書を迅速に作成し、お送りします。
サービスの概要
示談書作成 | 清書・校正 | |
料金 | 27,000円 | 11,000円 |
内容・目的 | 個別事案に応じた完全な示談書の作成 | ご依頼人作成示談書の添削・修正 |
ご相談 | 何度でも〇 | 原則として× |
再修正 | 何度でも〇 | 原則として× |
料金について
追加料金は一切ありません。ただし、完成した文書の郵送をご希望される場合は、郵送にかかる実費をご負担いただきます。
また、料金は後払いなので、ご依頼後すぐに業務に着手できます。
秘密厳守
当事務所は法律上守秘義務を負っていますので、お知らせいただいた情報が漏えいすることはありません。
迅速対応
示談書作成に必要な情報をお知らせいただいた後2日以内に、示談書(案)をお送りします。特にお急ぎの場合は、当日作成・送付することも可能です。
手続の流れ
- 文書の授受にはメールを利用するため、メールアドレスをお知らせいただきます。
- 文書作成に必要な情報をお知らせいただくために「当事務所からのご質問」をお送りし、ご記入の後、ご返信していただきます。
- 示談書を作成し、メールで、示談書(案)と請求書をお送らせていただきます。ご希望に応じて、完成した文書を郵送いたします。修正要望には何度でも応じます。
PC・スマートフォン・プリンターも不要
PC・スマートフォン・タブレットをお持ちではない方、また、プリンターをお持ちでない方であっても、問題なく対応可能です。
示談書の内容は携帯メールによってお伝えすることができます。また、プリントについては、ネットプリントを利用いたしますので、お近くのセブンイレブンでプリントアウトしていただくことが可能です。