不倫慰謝料内容証明のサンプル

不倫・婚約破棄の被害に遭い、相手方に慰謝料請求をする際に最初にとられる方法は、内容証明を利用した慰謝料請求です。ただ、一口に「不倫・婚約破棄の内容証明」と申しましても、実はその内容は様々です。以下に示すサンプルをご覧いただければ、お分かりになるはずです。当事務所へのご依頼をご検討される方のご参考になるように、不倫慰謝料内容証明のサンプルを掲載し、同時に、ご参考となるコメントをいたしました。

ご注意ください(サンプル借用の危険性)

最初にサンプルをご覧いただく際の注意点を述べておきます。

内容証明による慰謝料請求は効果があるだけに、反面、非常に危険な面もあります。したがって、以下のサンプルを借用され、ご自身でご利用されることは、絶対にお止めください。それは、次のような理由によります。

  • 内容証明は証拠力が高く、万が一裁判になってしまった場合には、重要な証拠となること
  • 法的にみて余分な記載をすると、内容証明の効果を半減させるだけではなく、かえって、ご自身にとって不利にはたらき、裁判になってしまった場合に、敗訴の原因となりうること
  • 記載すべき内容は、事案によって異なり、専門的な判断を要すること

万が一、以下のサンプルを借用されご自身でご利用された結果、損害が生じてしまった場合も、当事務所は、一切、責任を負いません。以下のサンプルは、あくまでも当事務所へのご依頼をご検討される際のご参考に止めていただき、疑問がおありの場合は、必ずご相談ください。

サンプルの事案の概要

本事案は、夫が不倫し、妻が不倫の相手方に慰謝料請求をするものです。

夫と不倫相手それぞれが勤務する会社には取引があり、平成21年1月に仕事を通じて2人は知り合いました。そして、偶然にも、2人の住居は同じ新興住宅地の中にありました。その後2人は同年3月に性的関係をもつようになり、交際を継続しましたが、平成22年10月に妻が明確に知るところとなり、同年11月17日付で、妻は、内容証明郵便を相手方へ送付するに至りました。

夫36歳・会社勤務・年収650万円、妻33歳・現在専業主婦、4歳と1歳の子ども2人、婚姻歴7年、2年前に新興住宅地に新居を購入、妻は比較的保守的な考え方をしている、不倫相手・31歳・独身・会社勤務・年収450万円・夫婦が住む新興住宅地にあるマンションに1人暮らし、という前提です。

本事案は、実際にあった複数の事例を参考にしたうえ、アレンジを加えた創作です。この事案をもとにして作成した2種類の内容証明原案を、掲載します。

定型内容証明のサンプル

記載内容を用件に絞ったシンプルな内容証明です。また、書籍やネットで内容証明の「サンプル」・「雛形」・「記載例」等として掲載されているものです。

通知書


   冠省、○○○○殿、私○○○○は、貴殿と夫○○○○が、平成21年4月頃から平成22年10月まで約1年6月にわたり密会を重ね、継続的に不貞行為を行ったことにより、著しい精神的苦痛を被りました。

   そこで、この度私は、貴殿に対して、不貞行為を理由とする損害賠償として、金150万円を請求し(民法709条・710条)、平成22年11月末日までに、金150万円を口座(金融機関名・・・・、口座種別 普通、口座番号・・・・・・・、口座名義人○○○○)振込されるようお願い申し上げます。

   なお、期限までにお振込みを確認できない場合は、・・地方裁判所へ訴訟を提起する考えでおりますことを申し添えておきます。

草々

平成22年11月17日

愛知県西尾市〇〇町〇〇1番地
〇〇〇〇

愛知県西尾市〇〇町〇〇10番地

〇〇〇〇   殿

コメント

お役所や金融機関などが送付する「督促状」とほぼ同じようなものです。裁判をする気満々で、最後通牒として内容証明で請求する場合には、非常に適した、分量・内容といえるでしょう。支払いの可能性を高めるため、金額についての工夫は必要となるでしょう。

当事務所の対応

当事務所は裁判に至らずに問題が解決されることが、当事者にとって最大の利益を生み出す、と考えております。したがって、当事務所が上記のような分量の内容証明を作成する際には、「最後通牒」としてよりも「話し合うための最初の一歩」としての意味を重視した文面にすることが多いです。

基本型内容証明のサンプル

被害者(慰謝料を請求する人)の気持ちをくみ取り、主張したいことを心のままに記載した内容証明です。「慰謝料の問題は気持ちの問題」といわれますが、その発想に沿った形式です。

通知書


   冠省、○○○○殿、私は○○○○です。○○○○の妻です。私は、貴殿と夫○○○○との間における不貞行為(不倫関係)により、著しい精神的苦痛を被りました。そこで、この度、私の被った精神的苦痛に対する慰謝料として、貴殿に対して、金150万円を請求する旨の通知をいたします(民法709条・710条)。

   本請求に先立ち、貴殿は、夫との待ち合わせ場所であった、夫が勤務する会社の駐車場において、私と遭遇し、一連の事情について、私に語られました。また、その後、私と取り交わしたメールにおいても、貴殿と夫の間における不貞行為を理由とする、慰謝料支払義務が存することを、認めておられます。したがって、本請求の趣旨は、十分にご理解いただけていると考えますが、貴殿のなさった行為の社会的な意味を再認識していただきたいと考え、改めて、私の思いを述べさせていただきます。

   まず、貴殿に慰謝料支払義務が存することの根拠は、次に挙げる各証拠にあります。

1   平成22年9月20日及び同年10月1日に、ラブホテル〇〇〇〇(・・市・・町・・1-1)へ、貴殿と夫が出入りする様子をとらえた映像

2   貴殿が、平成22年10月4日及び同年同月6日に、夫とともに、私及び夫の居宅へ侵入するところをとらえた映像

3   メールの通信内容

4   貴殿の自白

   これらの証拠は、裁判になった場合、貴殿が不貞行為に加担した事実を証明する力をもち、慰謝料支払義務の存在を認める法的根拠となるものです。貴殿は、不倫交際の事実に関して、もはや言い逃れができるお立場ではないと考えられます。

   次に、金150万円という金額についてですが、私の精神的苦痛の程度と比較して、相応の額であることが、以下の点からお分かりいただけるはずです。私は貴殿と夫の関係を知ったことにより、不安と疑念、怒りと悲しみを日々感じ続けております。そのため、不眠症に陥り、また、食欲を欠き、この一か月余りで6キロあまりも体重を減らしました。特別に、心に深い傷を負った背景には、次のような事情があるのです。

   まず、貴殿は、私が子どもを連れて実家に戻っていた間に、私の住まいに侵入したうえ、私のベットの上で不貞行為を行いました。これは、あまりにも無神経な振る舞いではありませんか。不貞行為を行うだけでも許しがたいことですが、加えて、私たち夫婦の聖域ともいえる寝室へ侵入するとは、不貞行為の中でも相当な悪質性をもつ不貞行為であると言わざるを得ません。。このことがもたらす精神的苦痛の大きさは、貴殿にも想像がついたはずではないでしょうか。今でも、夫婦の寝室に置かれたベットを見るたびに、忌わしい想像を掻き立てられ、耐えられぬ怒りと悲しみが湧いてきます。

   また、貴殿と私の住まいは、歩いても10分以内と、極めて近い場所的関係にあります。このことが何を意味しているかお分かりになりますか。私や私の家族の地域社会での立場や信用が全て壊されてしまったことを意味しているのです。夫の不倫が判明し、しかも不倫の相手がご近所に住んでいることが分かって以来、私は、私や私の家族が、常に、ご近所の好奇の視線にさらされているのではないかという猜疑心にさいなまれています。私は、これまで、私と同じように小さなお子さんを抱えておられる方々と、親しくさせていただき、それが、苦労の多い日々の暮らしの中で、専業主婦である私にとって、ささやかな楽しみでした。しかし、今では、そうしたお母様方の輪の中へ、自然に入っていくことができなくなってしまいました。地域の小さな社会の中で、心穏やかに暮らすには、周囲から信頼を得ることが不可欠なのです。今回私が失ったものは、金額では示されないほど重大なものなのです。

   このような諸事情は、すべて貴殿がなさった軽率な振る舞いに一因があります。金150万円という金額が、決して高額なものではないことを、お分かりいただけると思います。

   貴殿は、もしかすると、軽い気持ちで、夫と不倫関係に陥ったのかもしれません。しかし、その軽い気持ちがもたらす影響は、極めて甚大なものであることがお分かりいただけたと思います。1人の人間が人生をかけてコツコツと築いてきたものを、すべて壊してしまうものなのです。そうである以上、社会で生きる1人の人として、ご自分がなさったことの責任を自覚され、相応の責任をお取りください。そして、少しでも人間としての悔悟の念がおありなら、今後一切、夫との接触を断ってください。貴殿の良心に対して、心から期待いたします。

   以上、私の思いを述べましたが、ご理解していただいたうえで、本書の冒頭で述べた請求に対する、貴殿のご回答を、平成22年11月末日を期限として、後記住所までご送付願います。

   なお、貴殿の良心に期待し、訴訟の提起に先立って、本書による請求をいたしましたが、ご回答の内容によっては、名古屋地方裁判所へ訴訟提起させていただく考えでおります。誠意あるご回答をお待ちしております。

草々

平成22年5月17日

愛知県西尾市〇〇町〇〇1番地
〇〇〇〇

愛知県西尾市〇〇町〇〇10番地

〇〇〇〇   殿

コメント

まず、「定型型内容証明」と比較して、記載の分量が多いことがよく分かります。裁判によらず問題の解決を図るためには、相手方に対して、説得力のある請求をすべきですが、この内容証明は十分な説得力をもつものといえます。本件事案からくみ取れる法的主張を、過不足なくなされているといえるでしょう。

また、加害者の感情を暴走させることなく冷静に、相手方へ伝えることができている点も特徴といえます。

当事務所の対応

当事務所では、この「基本型内容証明」を作成することを原則としています。事案の特殊性を把握したうえで、法的に意味のある主張を抽出し、ご依頼人に代わって記載します。

ページの先頭へ