Q&A

不倫に関するQ&A

Q   不倫は離婚原因になるのでしょうか?

A   民法では「不貞行為」を離婚原因のひとつとして挙げています。
「不貞行為」とは、「自由な意思で配偶者以外の異性と肉体関係を結ぶこと」と定義されています。異性との交際でも肉体関係がなければ不貞行為ではありません。また、同性愛者との肉体関係は、異性との肉体関係ではないので不貞行為ではありません。
しかし、「不貞行為」の定義に該当しない場合でも、夫や妻の同性愛や自分以外の異性との交際が「婚姻を継続しがたい重大な事由」であると判断される内容ならば、離婚原因として認められる可能性はあります。


Q   夫婦関係が破綻後の不倫でも、慰謝料は払わなければならないのでしょうか?

A   夫婦関係が破綻している場合は、保護すべき配偶者の権利がなく、不倫になっても慰謝料は認めないのが判例です。
夫婦関係の破綻とは、別居期間が相当長期にわたっており法律上の夫婦であっても、すでに夫婦の実態がないような場合です。
家庭内別居の場合には、夫婦関係が破綻しているかどうか、第三者からは非常に分かりづらく、証明の難しいことがあります。


Q   異性との肉体関係があっても不倫の慰謝料請求ができない場合がありますか?

A   不倫相手に自分は独身だと嘘をついていた場合や、夫婦仲が悪く、すでに夫婦関係が破綻していた場合などは、肉体関係があっても不貞行為に該当せず、慰謝料の請求はできません。


Q   不倫の慰謝料の金額の相場は、いくらぐらいなのでしょうか?

A   慰謝料は、心の損害に対して支払うものですので、個々のケースによって異なりますので、具体的にいくらと言えるものではありません。裁判上では、50万円から300万円というのが多いです。
判例では以下の事情が、慰謝料の算定において考慮されているように思います。
・夫婦が離婚に至るか ・不倫の期間、程度、妊娠させたか ・どちらが不倫に積極的だったか


Q   配偶者の不倫相手に警告や慰謝料請求をするときには、どのようなことに注意する必要がありますか?

A   配偶者の不倫相手に交際の中止要求や慰謝料請求をするときには、冷静に行う必要があります。暴力や脅迫的な言動はしてはいけません。
場合によると、名誉棄損や恐喝、脅迫罪に該当し、また損害賠償を請求される恐れもあります。このような場合は、専門家に内容証明郵便の作成を依頼して不倫を中止するように警告したり、あるいは慰謝料請求を通知してもらった方が良いでしょう。


Q   不倫相手があまり収入のない人なので、不倫相手の親に慰謝料を請求できますか?

A   親が任意に支払ってくれる場合(話し合いによっての合意)は別として、本来、親が慰謝料を払う義務はありませんから、調停や裁判での請求はできません。


Q   父親の不倫相手に、子が慰謝料を請求することができますか?

A   不倫の被害者は妻ですから、不倫の慰謝料を請求できるのは妻のみです。ただし、不倫の相手の女性が、父子関係を壊すような言動をとり、子の権利が侵害されたようなときには、それについての慰謝料の請求は可能です。


Q   不倫相手の正確な住所が分からないのですが、慰謝料請求の内容証明郵便は出せるのでしょうか?

A   残念ながら出来ません。内容証明郵便作成のためには、相手方の住所、氏名を記載する必要があります。住所を調べるためには、不倫をしていた夫、妻から聞きだす、興信所に調査を依頼するなどの方法があります。 勤務先への送付はできる限り避けるべきです。不倫の事実が会社に知られると「精神的苦痛を受けた」として逆に慰謝料請求される可能性があります。
ただ、不倫相手に何度要求しても住所を明かさないような場合は、不倫相手にその旨を伝えたうえで、勤務先への送付もやむを得ないと言えます。


Q   妻の不倫相手にも妻がいる場合はどうしたらいいのでしょうか?

A   これは、夫の不倫相手にも夫がいる場合と同様ですが、結局不倫をしていた双方がお互いに配偶者がいる場合、こちらが慰謝料請求しても、不倫相手の配偶者が同様にこちらの配偶者に慰謝料請求してくることもあります。これは、夫婦を一つの家計と考えると、請求しても結局は同額程度を相手も請求してきて意味がないということになる可能性もあります。
もちろん請求されても自分の配偶者には知られたくないということで、自分のみ支払うという方もいます。まずは、不倫相手の配偶者に不倫の事実を知られないように慰謝料請求することです。これらは、お互いが既婚者同士の不倫の場合に起きる一番難しい問題でしょう。


Q   500万円の慰謝料額で示談書を作成した場合、この示談書は有効でしょうか?

A   不倫の示談がなされ、慰謝料を500万円とする示談書が作成したが、支払いの約束が守られず、債権者は裁判をすることになったとします。
この場合、示談書に書かれた500万円の支払いが必ず認められるようにも思われます。しかし、そうとは言えないのが実情です。たしかに、500万円を支払うという約束がなされたという事実は非常に重要です。そして、そのことは示談書によって証明されています。
ただ、示談書によって証明できることには限界があることも確かです。書面を見ただけでは、債務者が本気でその金額に同意したか否かは分かりません。また、500万円という金額は一般に考えられる金額としては、高額であり、社会的にみて妥当な金額であるか否かは疑問が残るところです。
裁判例では、当事者間で500万円の支払い約束がなされた以上、500万円を支払わなければならないという、判断がなされたケースもあるようですが、常にこのような判断がなされるとは限りません。
金額については、やはりその場合における妥当な金額というものがあります。そうではない約束をしたとしても、結局、裁判となり無効の扱いを受けることになりかねません。金額を決める際には、このような点にも気を付けて決める必要があります。


Q   夫婦の間でなされた誓約書は、有効でしょうか?

A   不倫が発覚した際に、夫婦間で誓約書が交わされることがありますが、民法上、夫婦間の契約はいつでも取り消せるとされています。
そのため、夫婦間で誓約書を交わしても意味がないように思われがちです。
しかし、その話には更なる裏側があります。つまり、夫婦間契約を取り消せるのはあくまで正常な関係をを保った夫婦間においてであり、夫婦とは言っても離婚の危機に直面しているような夫婦間の契約は、取り消すことができなくなります。
不倫が発覚した夫婦間は正常な関係が維持されているとは言えない関係に陥っていることが、むしろ多いと言えるでしょう。したがって、誓約書をを取り消せる関係ではないことが多いのです。
問題は、そのような関係に陥っていることを如何に書面上明かにするかにあります。


Q   不倫相手にいきなり慰謝料請求の訴訟を提起することはできますか?

A   可能です。不倫相手に対する慰謝料請求には、調停前置主義が適用されないので、いきなり訴訟を起こすこともできます。
しかし、訴訟には時間と費用がかかりますので、まずは話し合いや内容証明郵便で請求した方がいいでしょう。


Q   不倫の慰謝料を請求された者ですが、金額は話し合いで決まり、現金で一括払いすることになりました。相手から領収書をもらえば十分でしょうか?

A   慰謝料の支払いについては、示談書を作成し、双方が署名、捺印することが大切です。
今回の慰謝料の支払いで、本件はすべて円満に解決したことと、今後さらに慰謝料の請求はできないことを明確にした示談書を作成することが必要です。


Q   慰謝料には税金がかかるのでしょうか?

A   慰謝料は損害賠償金などと同様の扱いで、精神的苦痛や心身に加えられた損害などが原因で支払いを受けるものですので、所得税法では非課税になっています。ただし、その金額が一般的に社会通念上認められる額を超えていると税務署に認定されると、その超えた部分の金額は贈与とみなされて贈与税の対象となることがあります。


Q   既婚者である不倫相手と結婚の約束をしたのですが、婚約は成立しているのでしょうか?

A   既婚者である不倫相手との婚約は原則として成立しません。
「妻と離婚して君と結婚したい」などと既婚者である交際相手から結婚を申し込まれ、そのプロポーズを受け入れたとしても、日本の法律では重婚を禁止していますので、その相手にすでに配偶者がいる以上は配偶者以外の人と次の結婚の約束はできません。パートの妻がパート先の正社員と不倫をした場合、勤務先に責任を問うことは可能ですか?勤務時間中に二人で抜け出してホテルに行っていたなどの特殊な事情がない限りは、勤務先の責任を追及することは不可能でしょうし、プライベートの問題として取り扱ってもらえないと考えられます。


Q   社内不倫の場合に、不倫相手に退職を要求することはできるのしょうか?

A   できないといえます。就業する権利は個人の生活を支える基本的な権利なので、これを奪うことはできません。また、不倫はプライベートの問題なので、これを直接の根拠として、会社が免職処分を行うことは通常ないことでしょう。ただし、社内不倫は職場の秩序を乱す面があるため、含む規律で社内秩序の維持する義務を従業員に課している会社であれば、上司に対して穏便に報告することで、何らかの措置を要望することは可能です。


Q   夫が別居後に浮気をしました。慰謝料の請求はできるのでしょうか?

A   できる場合もあれば、できない場合もあります。できる場合も、慰謝料額は様々です。不倫の慰謝料請求は、夫婦関係が破綻していると認められません。そして、別居は夫婦関係の破綻を示す判断材料となるでしょう。しかし、それは実質的に判断され、別居中の夫婦関係の中身が問題とされます。また、別居の期間も重要な判断材料とされますが、別居期間が長ければ常に夫婦関係の破綻とさえるものではなく、やはりその中身が問題とされます。


Q   不倫相手の子どもを妊娠しましたが、中絶してしまいました。不倫相手に慰謝料を請求できるのでしょうか?

A   原則としてできません。なぜなら、中絶するかしないかを決めるのは、最終的にはその女性であり、事情はどうであれ、女性自らの意思に基づいて中絶を決断した以上、相手方はその決断に対して責任を負う必要はない、と考えられるためです。ただし、判例の中には次のように判示して、慰謝料の請求を認めているものもあります。「本件性行為は原告と被告が共同して行った行為であり,その結果である妊娠は,その後の出産又は中絶及びそれらの決断の点を含め,主として原告に精神的・身体的な苦痛や負担を与えるものであるから,被告は,これを軽減しあるいは解消するための行為を行うべき義務があったといえる。しかるに,被告は,どうしたらよいか分からず,具体的な話合いをしようとせず,原告に決定を委ねるのみであったのであって,その義務の履行には欠けるものがあったというべきである。したがって,被告は,義務の不履行によって原告に生じたということができる後記損害を賠償すべきである。」


Q   不倫相手に中絶費用を請求できるのでしょうか?

A   男性と女性との不倫関係により、女性が妊娠し中絶した場合、手術費用や通院費用がかかりますので、これらの中絶に要する費用は妊娠した女性と男性の折半が原則です。つまり、男性と女性の関係で女性が妊娠し中絶する場合は、女性から男性に対して、中絶に要する費用半額の請求が可能です。
しかし、このことは慰謝料の請求とは別問題であることには、注意が必要です。中絶費用は、現実に生じた財産的損害(費用)に関するものであり、中絶は男女の同意によりなされるため、そのための費用も折半となります。そして、中絶費用の請求は、あくまで、立替え代金の請求をしていることにすぎないことになります。


Q   不倫相手に中絶に伴う慰謝料を請求できるのでしょうか?

A   中絶をしたからといって、相手方に慰謝料請求できるわけではありません。中絶あるいは、そこに至るまでの男女関係は、基本的に、全て自己責任です。
ただし、まれな例ですが、中絶に至るまでの男女関係において、違法性が認められるような事情がある場合は、その違法性を理由に、損害賠償請求が認められる場合もあるとされます。


Q   示談書に記載される清算条項とは、何でしょうか?

A   示談書には、通常清算条項を記載します。清算条項とは、簡単に言えば「この件はこれで終わりにして、お互いにこれ以上何も言わない。」といった約束を条文化したものです。これは、示談書の本質的な規定です。これがなければ示談書とは呼べません。示談とは争いをやめることを約束することだからです。
それだけに、この規定には意外な落とし穴があると言えます。安易に清算条項を記載すると、今後何も言えなくなってしまうからです。 今後相手方に何かを言いたいのであれば、そのことについては除外するなりして、ひと工夫しておく必要があります。


Q   解決金を支払うから認知請求をしないとの念書は有効なのでしょうか?

A   そのような内容の念書は無効となり、認知を請求することができます。
民法第787条により、父が任意に認知をしない場合、子やその直系卑属またはこれらの者の法定代理人は、父に対し、裁判による認知の請求をすることができます。
この権利は認知請求権と呼ばれていますが、認知請求権は、人の身分に関係する権利であり、個人が自由に放棄等の処分をすることができません。
「認知請求権を放棄する」、「認知の請求をしない」などを約束したとしても、法律上は無効となります。従って、解決金を受け取って念書を書いたとしても、その後認知を請求することは可能となります。


婚約破棄に関するQ&A

Q   婚約してるって、どのようなことで判断するのでしょうか?

A   婚姻届を提出せずに、実質的な夫婦として生活をする方が増加しています。そのような関係を内縁関係といいます。
内縁を定義すると、「婚姻の実態を有する男女間の関係であり、婚姻の届出という手続きを欠くため、法律上の婚姻が成立していない関係」ということになります。
そして、内縁関係は婚姻に準ずるものとして、共同生活の存在を前提として認められる婚姻の効果を及ぶと考えられています。
婚姻の実態とは、婚姻に準ずるとは、あいまいなものだと思います。裁判では、このあいまいな基準を明確にする立証を求められます。当事者は、互いの関係を形にすることまで気が及ばず、信用のもとに共同生活を送っているのが普通でしょう。しかし、内縁の解消や相手の死亡という事態になった時には、内縁であったか、否かは大きな違いとなります。
そこで、裁判ではどのような事実が考慮されるか、いくつか挙げます。内縁関係として婚姻関係と準じた保護を受けるのか、同居人に過ぎないのか、以外に内縁関係と認められることは難しいのです。
①結婚式、②同居の事実、同居期間、③同居する住宅購入、賃貸、④生活費の負担(光熱費、家賃、保険等の支払い)、⑤住民票で同一世帯となっていること、⑥年金で第3号被保険者になっていること、⑦健康保険で被保険者となっていること、⑧親や親族、友人、職場への妻もしくは内妻として紹介していたこと、⑨非嫡出子の存在、⑩生命保険の受取人であることなど、総合的に判断されます。


離婚に関するQ&A

Q   専業主婦が離婚した場合、当面の生活費はどうなるのでしょうか?

A   婚姻期間中専業主婦であった場合、離婚後すぐに自立した生活を営める収入が得られる就職先を探せないこともあると思います。
その場合、特有財産があればよいのですが、そうでない場合、離婚すると、ただちに生活に困窮してしまうことが生じ得ます。他方で、離婚後の収入や特有財産は、そもそも財産分与の対象とならないため、離婚後も就業している相手方は婚姻時よりも経済的に余裕が生じることがあります。
このような場合に、就業している相手方に対し、離婚後、申立人が経済的に自立できるまでの間の生活費を財産分与として負担させるべきだというのが「扶養的財産分与」の考え方です。
このように扶養的財産分与は、離婚後の扶養としての性格をもつ財産分与で、清算的財産分与や慰謝料的財産分与だけでは、離婚後の配偶者の保護が十分でない場合に認められることがあるものです。
したがって、扶養的財産分与は補充的に命じられるものと裁判実務上は考えられており、財産分与請求者に要扶養性があることが必要となります。
清算的財産分与、慰謝料的財産分与により相当の財産分与を受ける場合や配偶者に相当の資産、収入がある場合には、扶養的財産分与は認められないことになります。
具体的な算定においては、裁判時を基準として、その時点の特有財産を含めた双方の資産、負債、双方の稼働能力を比較し、申立人の扶養の必要性と相手方の扶養能力を検討することになりますが、実務においては離婚した夫婦に明らかな経済的格差がある場合に扶養的財産分与を認めることが多いようです。
上記のような考え方から、扶養的財産分与の額は、離婚後、ただちに自立した生活をできない配偶者が、離婚後において自立できるまでの間の生活費相当額ということになります。
たとえば、長い間専業主婦であって再就職して自活するまでにある程度の期間が必要だという場合では、1年から3年程度の必要最低生活費を考慮して算定されることが多いようです。
支払いの方法としては、一括払いによる場合と定期給付金による場合がみられますが、基本的には一括払いとし、相手方に資産が乏しく、一括払いが無理な場合では、定期金払いとされることが多いと思われます。


Q   住宅ローンが残っている場合、家はどうなるのでしょうか?

A   離婚の際、住宅ローンがまだ残っているマイホームがある場合、財産分与の問題は難しいです。ローンの支払いをどうしていくのか、どちらが出て行くのか、売却するのかなど、様々な問題が考えられます。
ローンが残っている場合、夫がローンを支払い続けて、妻が家に住み続けるということもあります。ただし、自分が住んでもいない家のローンを支払い続けてくれることを承知する人は、あまりいません。ただし、不貞行為などが原因で離婚に至る場合に、慰謝料の代わりにそのような取り決めをなされる方はいらっしゃります。
通常は、以下のいずれかになります。
1 当事者双方が住宅から出て行って売却し、残りの借金を折半したり、片方が負担したり、売却して余剰が出れば折半する等
2 片方に住宅を分与し、分与された側がローンを支払う
3 住宅ローンの債務者を変更する
4 住宅ローンの債務者は変更しないが、分与された側がローン相当額を債務者に支払うことで実質的に分与された側がローンを負担する形にする
5 住宅ローンの債務者になっていない者が住宅から出ていき、債務者が住宅の分与を受け、従前通りローンを支払い続ける
ただし、住宅ローン会社によりますが、2及び3の方法は認められないことが多いです。


Q   養育費を公正証書で定めた場合、額を変更するにはどうしたらいいのでしょうか?

A   離婚に際して一度決定した養育費を、その後の「事情の変更」により変更することは可能です。
一度公正証書で養育費の額を決めたものの、その後何らかの事情の変化があって減額を希望したい場合は、注意が必要です。
話し合いや協議書で養育費額を決めていた場合は、変更についても話し合いや協議書などお互いの合意で決めたとしても、大きな問題は生じません。
しかし、公正証書や調停調書、判決などで養育費の額を決めた場合、決まった養育費の支払いについては強制執行が可能となります。
そして、この場合、お互いが協議して養育費の額を変更しただけでは、強制執行の根拠となるこれら書面(債務名義)には何の変更も及びません。ということは、養育費を減額したと思っても、元の金額で強制執行をかけられる可能性は残るのです。
ですから、債務名義が存在する形で養育費の額を決定した場合には、その変更に当たっては公正証書を作成するか、調停を利用することが賢明です。


Q   別れた夫が再婚し、子が生まれた場合、養育費はどうなるのでしょうか?

A   養育費とは、未成熟子が経済的に自立した社会人として成長するまでに要するすべての費用をいいます。
離婚の際、毎月○万円を支払うというような合意を夫婦間で取り決めておくことが通常です。多くは、「○○(義務者)は、○○(権利者)に対し、長男及び次男の養育費として、平成○年○月からそれぞれ満○歳に達する日の属する月まで、1か月金○万円を、毎月末日限り、○○に振り込む方法により支払う。」のような合意がなされます。もちろん、当事者間の合意を必要としない審判や裁判においてもこのように定められることがあります。
いずれにしても、このような取り決めがなされた以上、原則として支払義務者は、定められた期間、定められた額を権利者に支払い続けなければなりません。
しかし、このような取り決め後に生じた事情如何によっては、支払額を減額すべき場合もあります。
その典型例として、支払義務者が再婚し、再婚相手との間に子が生まれた場合があります。
このケースについては、権利者側あるいは一般人の感覚からすると、「再婚したのも子どもを産んだのも、義務者側が勝手にしたことであって、一方的に減額されるいわれはない!」と感じられるかもしれません。
しかし、そもそも養育費支払義務は、生活保持義務といわれ、これは、自分の生活を保持するのと同程度の生活を子にも保持させる義務です。したがって、再婚相手との間に子が生まれた場合には、当然義務者はその子に対して生活保持義務を負っている以上、養育する義務があります。そして、再婚相手との間の子と前妻との間の子とでは義務者の負う生活保持義務の程度に差などはないのですから、同程度の養育費ということになるのです。
そうすると、当然前妻との間の子の取り分は少なくなります。このような理屈で、再婚相手との間に子が生まれた事は、養育費の減額事由となり得ます。
ただ、これは、義務者が再婚し子が生まれる事を養育費の取り決め時に予見できなかったことが前提です。離婚時に義務者に子が生まれる事が判明している場合は、その子が生まれても養育費を減額しない取り決めをすることができます。また、再婚相手に相当の収入がある場合には妥当しない可能性があります。


Q   公正証書に記載したお金の支払いがない場合は、どうしたらいいのでしょうか?

A   債務者(お金を支払わなければならない人)が、公正証書に記載されたとおり金銭の支払いをしない場合には、債権者(お金を請求する人)は、公正証書を作成した公証役場で、公正証書の正本に「執行文」(強制執行することができるという文言が入った書類)を付してもらった上で、裁判所に強制執行の申立てをすることができます。
しかし、この強制執行を開始するためには、その前段階として、「送達」(債務者に公正証書の謄本を郵送で送り、書類の内容を少なくとも知り得る状態にしておくこと)という手続きが必要になります。送達手続をしてから、公証人が執行文を付与し、それから強制執行手続に進むことになります。
ただし、この送達手続については、公正証書の作成時点で同時に送達手続を行うところなど、公証役場によって送達手続の取扱いが異なることがありますので事前に確認することが必要です。


Q   面会交流を拒む親権者に面会交流を実施させるには、どうしたらいいのでしょうか?

A   離婚前の別居中や離婚後に、月1回、月2回などのペースで面会交流をする合意がなされることがあります。
しかし、たまに、ルールどおりに実施されないこともあります。その理由は、子どもが病気になったなど、いろいろありますが、中には、子を監護している親(以下、「監護親」といいます。)が、正当な理由もないのに面会交流を拒否しているケースもあります。子どもが病気になったなどの場合は、面会交流を実施できないのもやむを得ないと考えられますが、当然、正当な理由もなく面会交流を拒否することは認められるものではありません。


Q   正当な理由もなく面会交流を拒否された場合、どのようにすればよいのでしょうか?

A   裁判所の手続としては、「履行勧告」、「間接強制」などの手続があります。
履行勧告と言うのは、裁判所が子を監護していない方の親(以下、「非監護親」といいます。)の申立てを受けて、監護親に対し、面会交流を実施するように勧告する手続です。監護親としては、裁判所から連絡が来るというのは、多少プレッシャーに感じる可能性があり、面会交流を促す効果はある程度あります。しかしこれは、言ってしまえば、勧告するだけなので、特段、強制力はありません。
そこで、次に考えられるのが間接強制です。
これは、約束された面会交流を1回実施しなければ、その度に監護親の非監護親に対する金銭支払義務が発生するという手続です。これは、面会交流を実施しなければ、その度に金銭的に強制執行できるというものですから、その意味では、強制力を持ちます。ただ、間接強制は、必ずしも認められるとは限らないようです。面会交流を強制することになりますので、本当に、面会交流によって子の福祉を害することがないかどうかが、慎重に判断されるようです。
そして、間接強制よりも強力な手段として直接強制(子どもを監護親から非監護親に面会交流のために引き渡すことを直接強制する。)の手段がとれるかも気になりますが、面会交流について直接強制を認めた例は公表されていません。
また、正当な理由なく面会交流が実施されない場合、それは慰謝料請求の対象になることもあります。しかし、慰謝料請求によって、監護親の気持ちを逆なですることになり、かえって監護親が協力を拒み、面会交流の実施を困難にしてしまう可能性もありますので、注意が必要です。


Q   配偶者の親族との関係が不仲な場合、離婚できますでしょうか?

A   結婚してから、夫婦だけで住むというパターンも多いとは思いますが、夫婦の一方親族と一緒に同居する夫婦もいます。配偶者の親族、例えば配偶者の父母らと同居した場合に、それらの親族とうまくいかないということがあるものです。また、最近では、別居していても夫婦の間に親族が介入して紛争となってしまうこともあるようです。
では、配偶者の親族との不仲を理由として離婚はできるのでしょうか。民法における離婚原因としては、「婚姻関係を継続し難い重大な事由にあたるか否かが問題となってきます。
裁判例をみてみると、単に親族との関係が悪化しているというだけでは離婚原因があるとは認められていないようです。
例えば、夫が、夫婦の家に度々出入りしていた妻の母親から「あんたは挨拶ができない」「ここから落ちて死んでしまえばいい,馬鹿だったら死ぬわけはないけれど」といった趣旨のことをいわれたり、妻とその母親が夫に断りなく夫婦宅の増築計画をしたりし、その後2年5か月余りの別居に至った事案について、離婚原因があるとは認めなかった裁判例(東京地裁平成17年1月26日)があります。
この裁判例の判断理由は大要次のようなものです。
夫婦が別居に至った主な原因は、夫と妻の母親の人間関係の悪化にあると認定したうえで、別居前に約6年間の夫婦生活の継続があり、別居期間が同居期間と比較してさほど長期に及んでいるとまではいえないこと、妻とその母親が夫婦関係修復に積極的な態度を示していること、幼少の子ども達の養育には夫婦の協力が欠かせないこと、夫婦がこれまでの行動や態度を反省して相手方との生活をやり直す努力をするのであれば、婚姻関係の修復について妨げとなる事情がないこと等から、婚姻関係の修復が不可能とはいえないとしました。
この事案は、妻もその母親の言動に同調している面があり、夫が夫婦関係を継続することに困難を感じたというのも納得できるように思えますが、幼い子どもがいることや、あくまで親族との関係が問題となっていて、夫婦間の問題が直接の離婚原因とされてはいないこと等から、離婚原因があるとは認められなかったようです。
よって、配偶者の親族との不仲という問題は、夫婦間の問題ではない分、夫婦関係の修復可能性について慎重に探っているように思われます。



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