示談書の作成

昨今、不倫(不貞行為)・離婚・婚約破棄・セクハラ・ストーカーといった男女関係にまつわるトラブルは、非常に多く発生しています。この種のトラブルが日々の生活に与える影響は大きく、心身を疲弊させてしまいます。

少しでも早く安定的にトラブルを解決するために、また、今後同種のトラブルが生じることを防ぐために、示談書の作成は不可欠であるといえます。

安定した問題解決のために、当事務所作成の示談書をご利用ください。

示談書とは

示談書とは、示談契約の内容を文書化したもので、一つの契約書です。

では示談契約とはどのようなものでしょうか。多くの方が大体のイメージはわくと思われますが、正式に言うと、当事者間に存する法律関係に関する争いについて、当事者双方が譲歩して、争いをやめることに合意すること、をいいます。ポイントは「法律関係に関する争い」と「当事者双方の譲歩」です。「法律関係に関する争い」とは法律上の権利や義務の存否に関する争いであり、事実関係の争い自体とは異なるものです。また、「当事者双方の譲歩」が必ず必要であり、一方的に譲歩して成立した合意は示談ではありません。

示談と同種の用語として、「和解」がありますが、これらは同じ意味です。ただし、「示談」は一般的な用語であり法律用語ではありません。

なお、契約書の表題として、「示談書」「和解書」「合意書」「念書」「覚書」などが付されますが、表題と契約内容は直接的な関係はなく、表題によって契約書の性質が変わることはありません。あくまでも契約内容から契約の種類が決せられます。表題が「示談書」とされていても、契約内容が示談といえなければ、示談契約とはならず、したがって示談書とは呼べないということになります。ただし、できる限り契約内容に即した表題を付すことが望ましいです。

示談書作成の目的

契約は、基本的に、口約束でも成立します。では、なぜ契約内容を書面化しておいた方がよいのでしょうか。あえて示談書を作成する目的は以下のようになります。

争いに終止符を打つ

不倫などの違法行為がなされ、発覚すると、被害者は加害者に対して、大変な憤りを抱きます。その時点から争いが表面化するわけですが、永遠に争いを続けるわけにもいきません。できるだけ早期に争いに決着をつけ、また新しい日々を生きていかねばなりません。示談書は、違法な事実に端を発した争いに決着をつけ、清算することについての当事者の意思を、書面上確認するものです。そのため、示談書には、「清算条項」が記載されます。

過去の争いごとが蒸し返されることを防ぐ

一旦示談が成立すると、後々その事案に関する新事実が判明しても、錯誤を理由とした無効の主張は、原則として、できなくなり、それにより、争いの蒸し返しを防ぎ、過去の出来事に一応のけじめをつけることができるようになります。しかし、示談の成立自体を書面によって証明できなければ、事実上、自己に有利な新事実をつかんだ当事者からの争いの蒸し返しを許してしまうことになります。

将来同種の違法行為がなされることを防ぐ

争いの原因となった不倫などの事実は、通常、当事者に対して多くの不幸な事態をもたらします。このような事態の再発は、何としても避けねばならないことです。しかし、実際上、再発を完全に防ぐことはなかなか難しいことです。自然のままにまかしていては、再発の危険は高まってしまいます。そこで、再発を防ぐための工夫を示談書に盛り込む必要性が生じます。また、書面化することで、当事者に対して強い抑制力が働きます。過去の過ちを将来の幸福の糧とするために、示談書の作成は非常に有効な手段となります。

約束事について当事者双方が共通した認識を持つ

口約束であっても契約は成立しますが、それは録音でもしておかない限り、契約内容について人の記憶に依存することになります。しかし、人の記憶は不完全なものですし、記憶にないといえば不都合な約束事をなかったことにできてしまいます。 また、そもそも、言葉というものは非常に曖昧なもので、同じ言葉であっても受け手によって微妙に異なる捉えられ方をします。そして、一般的に、当事者は自身の都合に合うように言葉の意味を広げてあるいは狭めて解釈しがちです。 このようなことであっては、示談がなされてもほとんど効果がなくなってしまいます。そこで、約束事を文書化し、しかも一義的に明確となる文言を使用することにより、当事者双方が契約内容について共通した認識を後々まで持ち続けることができるようになります。

金銭債務の履行確保

示談契約成立の結果、加害者が金銭債務を負うことになることは非常によくあります。特に分割払いの場合にいえることですが、加害者が金銭債務を負うことと、実際に金銭の支払いがなされることとは、全く別の話です。しかも、示談契約が成立すると、金銭債務の履行がなされない時であっても、特約がない限り、一度成立した示談契約を解除することはできません。そうなると、後は加害者が負う金銭債務の履行をいかにして確保するかが問題になります。示談書において、少しでも金銭債務の履行を確保するための工夫を施し、支払いが滞った際の処置について、当事者間における共通認識を持っておく必要があります。

金銭債権の証拠確保

被害者は、通常、示談契約成立によって、加害者に対する慰謝料等の支払いに関する金銭債権を有することになります。しかし、例えば5万円ずつ20回に分けて支払う契約が成立している場合で、最初の3回以降の支払いが滞ったとしたらどうするのでしょうか。最終的には裁判所を通じた法的措置を講じることにより、相手方から強制的に、債権の回収をすることになりますが、そのためには、金銭債権の存在に関する証拠が必要となります。示談書はまさに、その際の証拠となるものです。

金銭支払いに対する見返り

示談契約は当事者双方の譲歩によって成立するものですが、譲歩の手段としては、通常、加害者は慰謝料等の金銭の支払いに応じ、他方、被害者は財産上の請求権をすべて放棄する、ということになります。しかし、例えば100万円を一括で支払う契約の場合に、現金で100万円を支払い領収書を受け取ったものの示談書を取り交わしていないと、相手方から追加の請求がなされる余地を残してしまいます。100万円の支払いの代わりに相手方は今後一切財産上の請求をしないことについての証拠が残っていないために、このような危険性が生じることになります。慰謝料等の金銭を一括払いする際には、必ず、相手方に対して示談書への署名捺印を求めねばなりません。

プライバシー・名誉を守る

示談契約の対象となる事実関係は、多くの場合、他人に知られたくない事柄であり、また、当事者の社会的評価にも影響を与える事柄です。そのため、示談の際には、当事者双方のプライバシーや名誉を守るための処置を施しておく必要があります。名誉やプライバシーは非常に重要なものなので、守秘義務を示談成立後の当事者間における共通の規範として、示談書に記載しておく必要があります。ただし、一定の範囲で第三者への口外を要する場合も想定されるので、何を、どの範囲で口外してもよいのかについても、書面によって当事者双方の了解事項としておく必要があります。このような例外事項を設けていないと、かえって、守秘義務が形骸化する恐れがあります。

どちらの当事者が作成するものなのか

被害当事者と加害者当事者のいずれが作成しても構いません。この点について特にしきたりのようなものはありません。

相手方が作成した示談書については、一度よく検討する必要があります。争いを早く終わらせたいがために、内容について把握することなく、署名捺印してはいけません。示談書の内容は今後当事者双方を拘束するものなので、自分自身がどのような権利を持ち義務を負うのかについて、よく理解しなければなりません。

また、加害者は立場上強く意見を述べることがはばかられるものですが、示談は当事者間の合意によって成り立つものなので、当然のことながら、加害者にも意見を述べる権利はあります。実行不可能な苛酷な義務については、相手方に意見を述べ、調整を求めなければなりません。示談契約後に、契約違反が生じることは、問題をより深刻化・複雑化するものといえます。

示談書作成などの費用負担について

示談書や公正証書を作成するために要した費用について、当然に、加害者が負担するものであるかというと、そういうものではありません。

実際上多くみられる費用負担の方法は、当事者双方が折半するか、加害者に負担を求めるというものです。

示談契約成立後に、示談書や公正証書作成費用の一部または全部について、相手方へ請求する場合は、その旨が支払方法と共に記載されます。

作成を依頼した側に有利な内容となるのか

示談書は、当事者双方に公平となるように作成されます。意図的に一方の当事者に有利となるような文書を作成することはありません。

しかし、実際上、ご依頼人のご要望をお聞きし、それを尊重しつつ、法律上・社会通念上妥当な範囲で作成しますので、作成された文書にはご依頼人のご要望が色濃く反映されることになります。そのため、結果的に、一方の当事者にとって有利な内容の文書となる傾向があることは否定できません。

もっとも、契約は双方の合意に基づいて成立するものなので、相手方の同意がなされない内容を持った文書は無意味になります。相手方から同意を得られず、修正の要望を受けた場合は、それに応じて文書内容を修正することになります。

示談書作成の時期(示談書の利用方法)

基本的には、当事者双方の協議に基づき示談内容が決した後に作成することになります。

ただし、示談の内容が決する前に作成されることも多いです。相手方と交渉する前に示談書を作成し、自身の考えをまとめておきます。そして、相手方と会談した際に相手方が同意を得られれば、署名捺印を求め、異論がればそれに応じて示談書の内容を修正します。この方法は非常に合理的な方法であるといえます。

相手方と交渉する際には、何をどのような内容で取り決めるべきなのかについて、自分自身が分かっていなければなりません。示談の際に取り決めることは、慰謝料だけではありません。適切な問題解決のためには、他に多くの項目について取り決めねばならないのです。事前に示談書を作成しておけば、取り決めるべき項目と内容を整理でき、相手方に対して、自らの主張を的確に伝えることが可能となります。

また、一般的に、当事者同士は何度も会談することを望みませんが、事前に示談書を用意しておくことにより、少ない会談回数で問題を解決することが可能となります。相手方が慰謝料の支払いに同意しているのであれば、最初の会談時に複数の示談書のパターンを用意することにより、一度の会談で示談を成立させることも可能となります。

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